室井大資「秋津」

「秋津」は、「漫画家」をテーマにした作品です。

漫画家、漫画そのものを題材した作品といえば、最近では「バクマン」がヒットしたことが記憶に新しいかと思います。

他にも「描かないマンガ家」など、昨今では「マンガを描く」ことや、マンガ業界の実情などをリアルに描いた作品が増えている印象があります。

その中でこの「秋津」も、職業としてマンガ家を営む秋津が、マンガ家を父親に持つ息子との生活ぶりを新鮮な角度から描いた作品となっています。

ですが、息子の目に映るのは、マンガ家としてカッコ良く活躍する父親の姿ではありません。

締め切りが近くなればおもむろに現実逃避をはじめ、さっぱり原稿は進まない、とても職業としてマンガ家をやっているとは思えない姿なのです。

そのあんまりなダメ人間ぶりは、当の息子をして「お父さんみたいにはなりたくない」と言わしめてしまうほど。

変人のマンガ家が息子を持って子育てをしたらどうなるか……、そんな二人の関係がコメディタッチで描かれています。

悲壮感漂う中年のマンガ家の姿なのですが、なぜかそれだけで笑いを誘われてしまいます。

絵柄は独特で人を選ぶところもあるかもしれませんが、ページを繰ってみればきっと魅力に取り付かれることでしょう。

Kindle価格は¥429、紙の本よりも222円お得です。(2014年1月現在)

このページの先頭へ