沙村広明「ブラッドハーレーの馬車」

この「ブラッドハーレーの馬車」は、「無限の住人」の作者としても知られる沙村広明さんによる作品です。

2005年から2007年の期間、「マンガ・エロティクス・エフ」という雑誌にて連載されました。

単行本として一冊にまとまっている、短編連作のかたちをとっています。

雑誌の名前からして、ものものしい雰囲気を感じ取るかもしれませんが、まさしくその通り、全編にわたってエロティックさとフェティシズムに溢れた作品が展開されます。

表題にもなっている「ブラッドハーレーの馬車」とは、資産家であるブラッドハーレーが養女を迎えに出す馬車のことでした。

孤児院に暮らす少女たちにとって、その馬車に乗るということは憧れでもあったのです。

しかしそんな少女たちの期待は、現実によって見事に打ち砕かれてしまうのでした。

救いようのない現実に巻き込まれていく少女たちを次々に残酷なシーンで迎え入れるさまは、作者の負の一面がたっぷり注ぎ込まれているようにも思えます。

ですが作者の沙村広明さんは、この作品が始まる当初は「赤毛のアンのような作品を描きたい」と言っていたのだとか……。

Kindle価格は¥420、紙の本よりも280円お得です。(2014年1月現在)

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